焼酎は芋・麦・米・黒糖・そばなどを原料とした日本独自の蒸留酒だ。九州を中心に各地で多彩な銘柄が生産されている。人気銘柄ランキング・種類別の特徴・選び方をまとめた。
焼酎の種類:甲類と乙類(本格焼酎)の違い
- 甲類焼酎(連続式蒸留) 連続式蒸留機で何度も蒸留したクリアで無味無臭に近い焼酎。アルコール度数36度未満。サワー・カクテルのベースとして使われる大衆向け焼酎。代表ブランド:宝焼酎・キンミヤ焼酎・鏡月。1本1,000円前後でコスパが高い。
- 乙類焼酎(単式蒸留焼酎)=本格焼酎 単式蒸留機で一度だけ蒸留するため、原料の風味・旨みが残る。アルコール度数45度以下。「本格焼酎」として差別化されている。芋・麦・米・そば・黒糖などが主な原料。価格帯は700〜1,500円(720ml)が中心で、プレミア品は3,000円以上になる。
芋焼酎の人気銘柄ランキング
芋焼酎は鹿児島・宮崎を中心に生産される。さつまいも(黄金千貫が主流)を主原料とし、独特のコクと甘みが特徴だ。
- 1位 森伊蔵(もりいぞう)鹿児島・垂水市 芋焼酎の「幻の三銘柄」の一つ。入手困難なプレミア品で定価720ml3,350円が市場では数倍の値がつく。抽選販売のみで購入できる。まろやかな甘みと上品な香りが特徴。
- 2位 村尾(むらお)鹿児島・薩摩川内市 幻の三銘柄の一つ。手造りにこだわる少量生産で、定価1,800ml3,000円程度。芋の香りが豊かでありながらスッキリとした後味。
- 3位 魔王(まおう)鹿児島・白玉醸造 幻の三銘柄の一つ。甘い香りと軽い飲み口が特徴で芋焼酎初心者にも人気。定価720ml1,850円程度。
- 4位 佐藤(さとう)鹿児島・佐藤酒造 黒麹・白麹の2種類があり、黒はどっしりした旨み・白は軽やかな味わい。入手困難だが人気は高い。
- 5位 伊佐美(いさみ)鹿児島・甲斐商店 日本で最初に「幻の焼酎」と呼ばれた老舗銘柄。コクと甘みのバランスが良く、地元・鹿児島の定番酒。
- 6位 黒霧島(くろきりしま)宮崎・霧島酒造 全国販売量トップクラスの芋焼酎。黒麹仕込みで深みのある芋の風味。720ml900円前後とリーズナブルで手に入りやすい。
- 7位 白波(しらなみ)鹿児島・薩摩酒造 鹿児島の定番銘柄。芋の甘い香りとまろやかな口当たり。720ml900円前後で毎日の晩酌に最適。
麦焼酎・米焼酎・その他の人気銘柄
- 二階堂(にかいどう)大分・二階堂酒造 麦焼酎の定番。麦の香ばしさとスッキリした後味。「吾輩は二階堂の麦焼酎だ」のCMで全国区に。720ml700円前後で最もコスパが良い麦焼酎の一つ。
- いいちこ 大分・三和酒類 「いいちこ」は大分弁で「いいでしょ」の意。麦焼酎で最も出荷量が多い銘柄。シンプルでクセがなく様々な飲み方に対応。「下町のナポレオン」のキャッチコピーで知られる。
- 球磨焼酎(熊本・球磨地方) 米焼酎の産地として有名な熊本県球磨地方の地理的表示(GI)産品。繊月・球磨の泉・白岳などが代表銘柄。米の上品な甘みと香りが特徴。
- れんと 奄美・奄美大島酒造 黒糖焼酎の代表銘柄。奄美大島の伝統的な製法で作られる。黒糖の甘い香りとまろやかな飲み口。奄美黒糖焼酎はGI(地理的表示)取得産品。
- 雲海 宮崎・雲海酒造 そば焼酎の代表的な銘柄。そばの爽やかな香りとすっきりした飲み口。720ml900円前後で入手しやすい。
焼酎の選び方ガイド(初心者向け)
- 芋焼酎が初めての人に 黒霧島・白波・島美人など大手メーカーの定番品が飲みやすくコスパが良い。お湯割りにすると芋の甘い香りが引き立ち、芋焼酎の魅力を体感しやすい。700〜1,000円/720mlが目安。
- クセが苦手な人に 麦焼酎(いいちこ・二階堂)がおすすめ。麦の香ばしさがあるが芋ほど個性が強くない。ストレートよりもロックやソーダ割りで飲むと飲みやすい。
- 甘みが好きな人に 黒糖焼酎(れんと・奄美・島有泉)が向く。黒糖の上品な甘みと軽い口当たりが特徴。ロックか水割りで飲むと甘みを感じやすい。
- プレミア品に挑戦したい人に いきなり幻の三銘柄(森伊蔵・村尾・魔王)より、佐藤(黒・白)・萬膳・伊佐錦など入手しやすい準プレミアムから始めるとコスパが良い。2,000〜3,000円/1,800mlが目安。
焼酎の産地と地理的表示(GI)一覧
- 薩摩焼酎(鹿児島県) 芋焼酎の代名詞的産地。黄金千貫という品種のさつまいもと清らかな水で作る。GI「薩摩」取得。
- 壱岐焼酎(長崎県壱岐市) 麦焼酎発祥の地とされる。米麹1/3・麦2/3の独特の配合。GI「壱岐」取得。
- 球磨焼酎(熊本県球磨地方) 米焼酎の産地。球磨川の清流と豊かな米どころで生産される。GI「球磨」取得。
- 琉球泡盛(沖縄県) 全域で生産される泡盛。タイ米・黒麹菌が必須条件。GI「琉球」取得。
- 奄美黒糖焼酎(鹿児島県奄美群島) 黒糖と米麹を原料とした焼酎。奄美群島のみで生産できる。GI「奄美」取得。
焼酎の飲み方と割り方の基本
- ストレート 原液そのまま。アルコール度数(25〜35度)が高いためチェイサー(水)を一緒に用意する。焼酎本来の風味を最も感じられる飲み方。
- ロック(氷割り) 氷を入れたグラスに焼酎を注ぐ。徐々に薄まっていく変化を楽しめる。芋焼酎・麦焼酎によく合う。
- 水割り 焼酎:水=6:4〜5:5が一般的。アルコール度数が下がり飲みやすくなる。前日から水と混ぜて「前割り」にすると味がなじんで旨くなるとされる。
- お湯割り 焼酎:お湯=6:4が基本(お湯を先に入れて焼酎を後から注ぐ)。温めることで芋・麦の香りが際立つ。特に芋焼酎との相性が良い。
- ソーダ割り(焼酎ハイボール) 炭酸水で割る。すっきりした飲み口で食中酒として最適。レモンを絞るとより爽やかに。
よくある疑問(FAQ)
焼酎と泡盛の違いは?
泡盛は沖縄県で作られる蒸留酒で、タイ米(外米)を主原料に黒麹菌で発酵させる。本土の焼酎と製法が異なり(全麹仕込み)、アルコール度数は30〜43度。長期熟成した泡盛は「古酒(クース)」と呼ばれ、3年以上熟成させたものが古酒を名乗れる。焼酎と泡盛は法律上ともに「単式蒸留焼酎」に分類されるが、沖縄県内では「焼酎」とは区別して「泡盛」と呼ぶ。
プレミア焼酎はなぜ入手困難なの?
森伊蔵・村尾・魔王(幻の三銘柄)は少量生産・手造りにこだわっているため生産量が限られている。定価ベースでは1,000〜3,500円程度だが、需要が供給を大幅に上回るため市場では数倍〜十数倍の価格がつく。正規購入ルートは蔵元の抽選・地元販売店・一部の航空会社の機内販売など。転売目的の購入増加が問題になっており、蔵元が直接購入に制限をかけるケースも増えている。
まとめ
焼酎は甲類(クリアでカクテル向き)と乙類・本格焼酎(原料の風味を活かした個性的な味)に大別される。芋焼酎(鹿児島・宮崎)・麦焼酎(大分・長崎)・米焼酎(熊本)・黒糖焼酎(奄美大島)・そば焼酎(宮崎)と原料・産地によって個性が異なる。お湯割り・ロック・ソーダ割りなど飲み方を変えると同じ銘柄でも全く違う表情が楽しめる。まずは手に入りやすい定番銘柄(黒霧島・いいちこ)から試して、自分好みの原料・産地・飲み方を少しずつ探していくのが焼酎の楽しみ方だ。