トイレや非常口、車椅子マークなど、街のいたるところで目にするピクトグラム。文字が読めなくても、ひと目で意味が伝わる便利な図記号だ。駅や空港、公共施設など、多くの人が行き交う場所で活躍し、外国人や子どもにも情報を伝えられる。本記事では、代表的なピクトグラムを一覧で整理し、色の意味やJIS・国際規格との関係、東京オリンピックで話題になったスポーツピクトグラムまでをわかりやすく解説する。身近な図記号の世界をのぞいてみよう。
ピクトグラムとは?
ピクトグラム(案内用図記号)とは、言葉を使わずに、対象や状態の情報を伝える図形のこと。「絵文字」や「絵記号」とも呼ばれる。
- 言語によらず伝わる:文字が読めなくても、絵を見るだけで意味がわかる。外国人や子ども、お年寄りにも情報を伝えられる。
- 公共の場で活躍:駅や空港、商業施設、観光地など、不特定多数の人が利用する場所で広く使われている。
- 約150種類が規定:日本ではJIS規格で標準化され、現在は約150種類の案内用図記号が定められている。
ピクトグラムの色の意味
ピクトグラムは色によっても意味が分けられている。色の意味を知ると、瞬時に情報を読み取りやすくなる。
- 赤:禁止・危険:立入禁止や火気厳禁など、してはいけないことや危険を知らせる。
- 青:案内・誘導:トイレや施設案内など、場所や設備への案内・誘導を表す。
- 緑:安全・避難:非常口や避難場所など、安全に関わる情報を示す。
- 黄:注意・警告:足元注意や段差ありなど、注意を呼びかける場面で使われる。
主なピクトグラム一覧|意味と色の早見表
身近なピクトグラムを、意味・色とともに一覧にまとめた。街で見かけたときの参考にしてほしい。
| ピクトグラム | 意味 | 色 |
|---|---|---|
| 非常口 | 緊急時の出口・避難方向 | 緑 |
| トイレ | お手洗いの場所 | 青(黒) |
| 車椅子 | バリアフリー・障害者用設備 | 青 |
| 温泉 | 温泉・入浴施設 | 黒 |
| 避難場所 | 災害時の避難先 | 緑 |
| 禁煙 | たばこを吸ってはいけない | 赤 |
| 案内所 | インフォメーション | 青 |
| ベビーケアルーム | 授乳・おむつ替えの設備 | 青 |
安全・避難のピクトグラム
いざというときに命を守るために欠かせないのが、安全・避難に関するピクトグラムだ。
- 非常口:緑地に走る人と扉が描かれた、最も有名なピクトグラム。緊急時の出口や避難の方向を示す。日本で生まれたデザインが、国際規格にも採用されている。
- 避難場所:災害時に避難する場所を示すピクトグラム。緑色を基調とし、一時的に身を寄せる先を案内する。
- 災害種別の記号:洪水や土砂災害など、災害の種類ごとに定められた記号もある。避難所がどの災害に対応しているかがわかる。
施設・案内のピクトグラム
目的の場所や設備を探すときに役立つのが、施設・案内のピクトグラムだ。
- トイレ:男女のマークで表される、最もよく見かけるピクトグラムのひとつ。多機能トイレを示す記号もある。
- 車椅子マーク:バリアフリー設備や、障害のある人が利用できる場所を示す国際的なシンボルだ。
- 温泉マーク:湯気の立つ器で表される、日本ならではのピクトグラム。外国人にもわかりやすい新しい記号も加えられた。
- 案内所・エレベーター:インフォメーションやエレベーターなど、施設内の設備を案内する記号もそろっている。
禁止・注意のピクトグラム
してはいけないことや、気をつけるべきことを伝えるピクトグラムも重要だ。
- 禁煙:たばこに斜線を引いた記号で、喫煙を禁止する場所を示す。赤色が使われる。
- 立入禁止:人に斜線を引いた記号などで、入ってはいけない場所を知らせる。
- 足元注意・段差あり:黄色を基調に、転倒などの危険に注意を促す記号もある。
JIS規格と国際規格
ピクトグラムは、統一されたデザインで使われるよう規格が定められている。日本と世界の規格を知っておこう。
- JIS規格(JIS Z8210):日本産業規格で標準化された案内用図記号。2002年に定められ、約150種類が規定されている。
- 国際規格(ISO 7001):世界共通で使われるピクトグラムの国際規格。国をまたいで意味が通じるよう整えられている。
- 統一の意義:規格を統一することで、どこでも同じ意味で通じ、誰にとってもわかりやすい案内が実現できる。
外国人向けの改訂と東京オリンピック
近年、ピクトグラムは外国人にもわかりやすいよう見直された。オリンピックでも大きな話題を呼んだ。
- 外国人向けの改訂:訪日外国人の増加を受け、温泉マークなど一部の記号が、国際規格に沿った形も選べるよう改訂された。
- スポーツピクトグラム:2020年東京オリンピックでは、全33競技50種類のスポーツピクトグラムが発表された。
- 開会式で話題に:東京オリンピックの開会式では、これらのピクトグラムを人が実演するパフォーマンスが行われ、世界中で話題となった。
ピクトグラムのメリット
ピクトグラムが広く使われるのには、はっきりとした理由がある。その利点を整理しておこう。
- 言葉の壁を越える:言語がわからなくても意味が伝わるため、外国人観光客への案内に大きく役立つ。
- ひと目で理解できる:文章を読むより早く、直感的に情報を把握できる。緊急時にも素早く行動できる。
- 誰にでもやさしい:子どもやお年寄り、文字を読むのが苦手な人にも情報を伝えられる、やさしい仕組みだ。
ピクトグラムの歴史
ピクトグラムが世界に広まった背景には、国際的なイベントがある。歴史をたどると、その意義が見えてくる。
- オリンピックがきっかけ:さまざまな国の人が集まるオリンピックでは、言葉に頼らない案内が求められた。競技や施設を示すピクトグラムが本格的に活用され、世界に広まった。
- 1964年東京大会での活躍:1964年の東京オリンピックでは、日本のデザイナーたちが競技や施設のピクトグラムを数多く手がけ、その後の普及に大きく貢献したとされる。
- 日本発のデザインも:緑の非常口マークのように、日本で生まれ、国際規格に採用されたデザインもある。日本はピクトグラムの分野で世界をリードしてきた。
身近なピクトグラムの活用例
ピクトグラムは公共施設だけでなく、暮らしのさまざまな場面で使われている。身近な活用例を見てみよう。
- 駅や空港:改札や乗り換え、手荷物受取所など、複雑な施設内の案内にピクトグラムが欠かせない。
- 家電や製品の表示:洗濯表示や取扱説明書など、製品の使い方や注意点を示すのにも図記号が使われている。
- 地図やハザードマップ:観光地図や防災マップでは、施設や避難所、危険箇所をピクトグラムで示し、ひと目でわかるようにしている。
まとめ
ピクトグラムは、言葉に頼らずひと目で情報を伝える便利な図記号だ。赤は禁止、青は案内、緑は安全、黄は注意と、色によっても意味が分けられている。日本のJIS規格や国際規格ISOで統一され、非常口のように日本発のデザインが世界で使われている例もある。東京オリンピックのスポーツピクトグラムで注目を集めたように、その役割は今後も広がっていくだろう。本記事の一覧を手がかりに、身近なピクトグラムに注目してみてほしい。