ビタミンは体の機能を正常に保つために不可欠な有機化合物で、人体では合成できない(または必要量を合成できない)ため食事から摂取する必要がある。脂溶性4種・水溶性9種の計13種類の役割・不足症状・主な食品をまとめた。
脂溶性ビタミン4種(A・D・E・K)
油に溶け肝臓や脂肪組織に蓄積される。過剰摂取で蓄積しすぎると過剰症になるため、サプリメントの取りすぎに注意が必要だ。
- ビタミンA(レチノール) 主な役割:視覚の維持(特に暗所での視力)・皮膚と粘膜の保護・免疫機能の維持。不足症状:夜盲症(とりめ)・皮膚の乾燥・免疫低下。多く含む食品:レバー(豚・鶏)・うなぎ・卵黄・にんじん(β-カロテンとして)・ほうれん草。成人の推定平均必要量は男性600μgRAE/日・女性500μgRAE/日(2020年食事摂取基準)。
- ビタミンD(カルシフェロール) 主な役割:カルシウム・リンの腸管からの吸収促進・骨の形成・免疫調節。紫外線を浴びると皮膚で合成できる唯一のビタミン。不足症状:くる病(小児)・骨軟化症・骨粗鬆症・筋力低下。多く含む食品:サケ・マグロ・イワシ・さんま・きのこ類(天日干しで増加)。成人目安量8.5μg/日。
- ビタミンE(トコフェロール) 主な役割:強力な抗酸化作用で細胞膜を酸化から保護・血流改善・老化抑制。「若返りのビタミン」とも呼ばれる。不足症状:溶血性貧血・末梢神経障害(通常の食事では欠乏しにくい)。多く含む食品:アーモンド・ひまわり油・アボカド・かぼちゃ・鮭。成人目安量 男性6.0mg/日・女性5.0mg/日。
- ビタミンK(フィロキノン・メナキノン) 主な役割:血液凝固因子の活性化・骨タンパク質(オステオカルシン)の合成。K1(植物由来)とK2(発酵食品・動物由来)がある。不足症状:出血が止まりにくい・骨粗鬆症リスクの上昇。多く含む食品:納豆(K2が特に豊富・1パックで成人1日分を超える)・ほうれん草・小松菜・ブロッコリー・抹茶。
水溶性ビタミン9種(B群8種+C)
水に溶け余分は尿として排出される。体内に蓄積されにくいため毎日摂取することが重要だ。
- ビタミンB1(チアミン) 役割:糖質をエネルギーに変換する補酵素・神経機能の維持。不足症状:脚気(かっけ)・ウェルニッケ脳症(アルコール多飲者に多い)・倦怠感。多く含む食品:豚ロース・玄米・大豆・うなぎ・ナッツ。推定平均必要量 男性1.2mg/日・女性0.9mg/日。
- ビタミンB2(リボフラビン) 役割:エネルギー代謝の補酵素・細胞の成長と修復・皮膚・粘膜の維持。「発育ビタミン」とも呼ばれる。不足症状:口角炎・舌炎・皮膚炎・成長障害(小児)。多く含む食品:レバー・牛乳・卵・納豆・アーモンド・青のり。
- ビタミンB3(ナイアシン) 役割:エネルギー代謝の補酵素・DNA修復・血管拡張。必須アミノ酸トリプトファンから体内合成も可能(60mgのトリプトファンから1mgのナイアシンが生成)。不足症状:ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知症の3徴候)。多く含む食品:鶏むね肉・マグロ・サバ・ピーナッツ・きのこ類。
- ビタミンB6(ピリドキシン) 役割:アミノ酸(タンパク質)代謝の補酵素・セロトニン・ドーパミンなど神経伝達物質の合成・免疫機能の調節。不足症状:皮膚炎・末梢神経炎・うつ傾向・免疫低下。多く含む食品:マグロ・サケ・鶏ささみ・バナナ・ピスタチオ・にんにく。
- ビタミンB9(葉酸・フォレート) 役割:DNA合成・細胞分裂・赤血球の生成。妊娠初期の神経管閉鎖障害予防に特に重要。不足症状:巨赤芽球性貧血・神経管閉鎖障害(妊婦欠乏時)。多く含む食品:ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・レバー・アスパラガス。妊娠を計画中・妊娠初期の女性は付加量240μg/日(食事分を加えて合計480μg/日)の摂取が推奨される。
- ビタミンB12(コバラミン) 役割:神経細胞の維持(ミエリン鞘の合成)・赤血球の生成・DNA合成。動物性食品にのみ含まれるため完全菜食主義者(ヴィーガン)は欠乏リスクが高い。不足症状:巨赤芽球性貧血・末梢神経障害・記憶力低下。多く含む食品:しじみ・あさり・牡蠣・レバー・さんま・海苔。
- ビタミンB5(パントテン酸) エネルギー代謝を助ける補酵素A(コエンザイムA)の構成成分で、糖・脂質・タンパク質の代謝やホルモンの合成に関与する。さまざまな食品に含まれ、通常の食事では欠乏しにくい。
- ビタミンB7(ビオチン) 糖・脂質・タンパク質の代謝を助ける補酵素で、髪・爪・皮膚の健康維持に寄与する。生卵白を大量にとるとビオチンの吸収が阻害される(アビジンの影響)ことが知られる。
- ビタミンC(アスコルビン酸) 役割:強力な抗酸化作用・コラーゲン合成(皮膚・血管・骨の維持)・鉄の吸収促進・免疫機能の強化。不足症状:壊血病(歯茎からの出血・皮下出血・倦怠感)・免疫低下・傷が治りにくい。多く含む食品:赤パプリカ(100gあたり170mg)・ゴーヤ・ブロッコリー・キウイ・いちご・柿。推定平均必要量 成人85mg/日・推奨量100mg/日。
よくある疑問(FAQ)
ビタミンCは大量摂取しても問題ない?
水溶性のため余分は尿として排出され、通常の食事・サプリメントの範囲では過剰症のリスクは低い。ただし1日2,000mgを超える高用量では下痢・胃腸症状が起こることがある。腎臓に疾患がある人は高用量サプリメントの使用前に医師に相談するのが望ましい。なお喫煙者はビタミンCの消耗が激しいため、非喫煙者より多めの摂取が推奨されている。
日光に当たればビタミンDは十分に摂れる?
晴天の夏場に顔・手・腕を15〜30分程度日光に当てると、1日分のビタミンD(8.5μg相当)を皮膚で合成できると言われる。ただし季節・緯度・日焼け止めの使用・室内生活が多い人は合成量が大幅に減少する。特に冬の東北・北海道、日中屋外に出ない在宅ワーカーはビタミンD不足になりやすく、食事やサプリメントで補充することが推奨される。
マルチビタミンサプリは毎日飲むべき?
バランスのよい食事が取れている成人には原則不要だ。ただし妊婦(葉酸480μg/日)・高齢者(ビタミンD・B12が不足しやすい)・完全菜食主義者(B12は動物性食品にしか含まれない)・食事制限中の人は食事だけでは不足しやすいため、医師・管理栄養士と相談のうえで補充を検討するのが適切だ。
加熱調理でビタミンは失われる?
水溶性ビタミン(特にCとB1)は熱と水に弱く、長時間の加熱や茹でることで大幅に失われる。ビタミンCは100℃・10分の加熱で約50〜70%が分解されるという研究がある。損失を減らすには「電子レンジ加熱」「短時間炒め」「蒸す」などが有効だ。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は比較的熱に安定しており、油と一緒に摂ることで吸収率が高まる。にんじんのβ-カロテンは生食より炒め物の方が吸収率が約5倍高いことが知られている。
まとめ
13種類のビタミンはそれぞれ体内で独自の役割を担っており、どれも欠かせない。脂溶性(A・D・E・K)は蓄積されるためサプリの過剰摂取に注意し、水溶性(B群・C)は毎日の食事でこまめに補給するのが基本だ。特に妊婦の葉酸・日光不足の人のビタミンD・完全菜食主義者のB12は不足しやすいため、日常的に意識して食事から摂取してほしい。